eショップのインディー系の中でも絵柄が独特で、扱っているテーマが難しい問題とあり気になっていたのもあります。
先般、ツイッターで繋がっている配信者さんがこのゲームを絶賛していたののもあり、それならばと私も購入してプレイしてみることにしました。
A YEAR OF SPRINGS どんなゲームかというと…舞台は現代の日本で、登場人物の3人の女性の日常や交流を描いたお話ですが、彼女たちの交流と同時に、それぞれの悩みや葛藤が描かれます。
キャラクターの会話を読み進め、出てきた選択肢を選んでいくテキストアドベンチャー形式・マルチエンディングです。
注意(公式より引用)
この作品には異なるジェンダーやセクシュアリティを持つ人々が直面する問題等のコンテンツが含まれています。
対象年齢は12歳以上です(IARC区分では12+)
…
メーカーは「ラタライカゲームズ」で、スペインを拠点に持つインディー系ゲーム会社です。
Twitterの公式アカウントより
私がプレイしているのは
ニンテンドースイッチ版(DL版)であり、当記事の内容は攻略や解き方ではなく
個人のプレイ日記です。
・A YEAR OF SPRINGS
(別窓・マイニンテンドーストア公式)
以降はプレイ日記です。会話シーンなどは大まかな部分のみ引用しています。以降はご興味がありましたらドウゾ…
三部構成のノベルゲーム
特に派手な演出は無く、落ち着いた色味とBGM、キャラクターや背景もシンプルな絵柄で淡々と紡がれていく世界です。
テキストアドベンチャー形式ですので、ノベルゲームのノリで読み解いていきましょう。
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日本語に対応しています。日本のアカウントで購入すると、デフォルトで日本語になるようです。
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ノベルゲームは詰まると堂々巡りになりやすいので、ヒントは素直にONにしておきます。推理や読解が得意な人は不要でしょう。
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ゲームの入り口です。最初は一つのシナリオしか遊べませんが、最初のシナリオをある程度まで読み解くと、次のシナリオが解禁される仕組みのようです。
第一部/one night, hot springs
主人公の
ハルが、友達の
マナミ(愛美)に誘われて温泉旅行へ行く話です。ハルは計画の段階でちょっと戸惑いがあるようですが…
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休日なのかベッドでゴロゴロ寝ているハル。そこへ友達のマナミから電話がかかってきます。温泉に行こうという話のようですが…
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ハルは温泉旅行そのものに行くことが問題なのではなく、その
現地で起こりうる事が気がかりで乗り気でない様子…それでも行ってみるを選択しました。
温泉宿に着いてから….jpg)
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マナミはさらに友達の
エリカも一緒に連れてきていました。ハルとはほぼ同い年のようですが、金髪に染めた髪やクールなスタイルが印象の女性です。
公式設定では元不良(ヤンキー?)だったとか。なんでもズバっと言ってしまったり、早とちりして解釈を間違えていることも。
3人でチェックイン。ハルも名簿に署名しますが…ここでは戸籍上の
本名で書かねばなりません。
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ここでハルはトランスジェンダー(体と心の性別が一致しない)であることが分かります。
生物学的には男性の体を持って生まれ、日本の戸籍(法)の上では男性とされていますが、ハルの心は女性であり、その容姿や立ち振る舞いは女性にしか見えません。
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受付の係員からの視線に気づき、説明すべきかどうか考えるハル…理解してもらえなかった事の方が多かったのでしょう。
誘われた段階でハルが乗り気でなかったのは、公衆浴場を使う際(例えば女湯に入るなど)に男性の体を晒す事で起こりうるトラブルを懸念していたと言えますね。
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幸い理解のある従業員に恵まれ、ハルも温泉を楽しむことができました。(選択肢によっては入浴しないルートもあり)
次のシナリオを解禁するルートを探す
プレイできるシナリオ個々もマルチエンディングになっており、正解ルートで読み終えると次のシナリオが解禁されます。
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途中終了のパターンにも感じますが、これもまた終わり方のひとつです。ノーマルエンド、グッドエンド、バッドエンドがあります。
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新しい友達ができた…という感じで終わる事もあります。友達キャラに対するフラグでしょうか?
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いろいろと巡っているうちに解禁ルートへ…「Rボタン」で会話はスキップもできますし、何度でもやり直せます。
速くクリアしたい場合は、選択肢が登場したら
ハルの気持ちになって考えてみましょう。
第二部/last day of spring
第一部でマナミの友達として登場した
エリカ視点でのお話になります。
エリカは
ハルの誕生日祝いやリフレッシュを兼ねて、スパに連れて行ってあげようと企画しますが…
ハルの事情を知っているが故に、予約の問い合わせをするたびに性別の壁が重くのしかかります。
結局、どのスパも一般的な男女のくくりでしか受付してくれない事が分かり…結局マトモな予約が取れず、ここは最後の手段で自宅でスパ気分だけでも味わおうとハルを呼び出します。
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一般的な施設で予約が取れない・取りにくいのは、自分のせいだと思い詰めるハル…自分の心身に起こっている違和感を自覚しているが故の発言でしょう。
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第三部/spring leaves no flowers
ハルやエリカの友達でもある
マナミが多く登場するお話です。彼女は裕福な家庭で育った箱入り娘という公式設定があります。
偏見は持たず分け隔てなく接する様子があるのでハルやエリカも信頼を置いていますし、彼氏もいるので一番「普通で」で幸せそうに見えますが…
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マナミの彼氏もハルとエリカの事を知っていて、ある日「ハルとエリカは(恋人のように)付き合っているのかな」という言葉に、マナミが疑問を抱くところから始まります。
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エリカを呼び出して真相を伺うと…エリカは戸惑いつつもハルとの関係をカミングアウトします。そして、ハルに対しても特別な感情や欲を抱いている事も明かしますが、マナミには理解できない様子。
今度はハルを呼び出してみたところ…逆に「なぜ今の彼氏と付き合っているのか?」という問いを出され、マナミは彼氏に対して恋愛感情や性的欲求が無い事に気付きます。
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ハルはそこで、マナミにアセクシャルやアロマンティックの傾向があるのではないかと伝えます。そして、自分自身の違和感を正しく知る事で、周囲の人も大事にできると遠回しに諭します。
(中略) 第一部とは異なり、ハルも成長している様子が伺えました。
自分を知り、お互いを受け入れる
引越し作業で始まるエピローグ。ここではハルとエリカが同棲する事になり、マナミと彼氏が手伝いに来ている様子が語られます。
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ハルもまたここ最近の出来事を経て、少しだけ自信を付けた様子も。受け入れてくれる人や場所がある事の大切さを振り返っていました。
エピローグでの会話も必見です。
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各章にアルバムなど収集要素もある為、バッドエンド込みでコンプしたい人は周回が必要です。
個人的にはハッピーエンドで気持ちよく終わったならもういいかな~と。考えさせられるけどキレイなお話でした。やさしい世界。
今回はここまで。 クリア後の感想は「オムニバス形式の短編小説を3冊読んだ感じ」でしょうか。ゲームとしては
クリアまで2時間くらい。ワンコイン(500円)くらいの価格ですし、1冊デジタル絵本を買ったと思えば頷ける内容でした。
また、海外製インディーズでありながらテキストの日本語(口語体)も違和感なく、日本人スタッフがテキストを監修したのか?と思うくらい読みやすかったです。
ボリュームが少ないという声もありますが、デリケートなテーマだけに、フィクションの盛り過ぎやステレオタイプの押し付けは批判にしかならないでしょう。
語られていない側面はプレイヤーの想像に委ねられているものとして、例えば、もしもリアルの自分の近くにLGBTQ+の人たちがいたらどう対応してあげるべきか…そういう事も考えさせられるシナリオでした。
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昨今は「性的マイノリティ」として取り上げられ大分オープンになりましたが、デリケートな話題でもあるLGBT(LCBTQ+)をメインテーマに持ちながら偏見を持たせず、三者三様によくまとめたなと感心しました。
ハル(トランスジェンダー/性別違和)、エリカ(バイセクシャル?)、マナミ(Aロマ?)ですが、LGBTの世界を少しでも知る・学ぶ結果に繋がる貴重なゲームでした。
しかしこれらもまた彼女たちによる一例にすぎません。それでも「温泉やスパなど公共の場に行く時、ハルのように遠慮したり自責する事がある」と知れただけでも価値があると思います。
ハル、マナミ、エリカは、自分の特性や傾向と素直に向き合い、その上でお互いを受け入れあう。ある意味で理想の信頼関係かもしれませんね。
・A YEAR OF SPRINGS
(別窓・マイニンテンドーストア公式)
ダウンロード専売で定価500円ですが、稀にセールで値下げしているかもしれません。興味が出た方はプレイしてみて下さいね。
(*´v`) 仲良きことは美しきかな
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